従来のカシオトーンと比較して最も良い部分が本体に据え付けられているK1〜K3の3つのノブで、左側の小さなK3ノブにはモジュレーションがデフォルトで割り当てられていますが固定ではなく、この3つのノブはモジュレーションの他にもカットオフやアタックタイム、ポルタメントタイム、イコライザーなど好きに割り当てることが可能
当然ながら一般的なシンセサイザーと比較してノブやホイールの数が少ないので音色調整のたびにメニューへ潜るという面倒な部分はありますが、従来のカシオトーンにイメージされる音色の調整がほとんど出来なくてPCMサンプリングされた音を鳴らすだけ、というわけではないしっかりとシンセサイザーとしての機能が搭載されています
一般的なカシオトーンよりも多機能でメニューへ潜るという難解さがあるため小学生以下には向かないけれども、大人を含む中高生以降で音楽活動はじめたい人へ非常に向いたカシオトーンであると思います
前述しましたが膨大なプリセットとボカロのようなボーカルシンセシス機能が載っており、これが55,000円で買えるわけですからDTMソフトとソフト音源をイチから揃えるよりも圧倒的に安い
「欠点はあるのか?」と聞かれればどんなものでもそうですがYESと答えます
まずシンセサイザーと言ってもアナログシンセサイザーのように、サイン波やノコギリ波を選択してエンベロープを調整してLFOでピッチを揺らしてエフェクトかけて、そのように作ったVCOを複数重ねて・・・みたいなことは出来ません、当然FMシンセサイザーみたいなオペレータがどうのも無理です
基礎となる設計は従来からイメージされるカシオトーンであり、プリセット音色を選んで様々な調整を加えるというのが利用スタイルになります
しかしそもそもCT-1000Vが想定しているであろうユーザ層は初心者で、802種類の膨大なプリセット音色があれば「こんな音色が欲しい」にはほぼ対応できるかと
ただ、カシオトーンの基礎設計の兼ね合いでそうなってるんでしょうけどエンベロープジェネレータはアタックタイムとリリースタイムしかなくて、ディケイタイムとサスティンレベルが無いのはちょっと寂しいところ、わかりやすいですけどね
前述しましたがノブが少ないのでメニューに潜る面倒くささも欠点の1つです
「3つのノブへ機能を割り当てても3つ以上の機能は使えないんでしょ?」と思うかも知れませんが、割り当てる機能を変更しても単にノブという物理コントローラで即座に調整ができなくなるだけで、調整量はそのまま保持されます
どういうことかと言えば、Aパートへ音色としてシンセリードを設定し、まずピッチ・アタックタイム・リリースタイムをK1〜K3の3つのノブへ割り当てて音色調整します
次にK1〜K3の3つのノブへ割り当てる機能をカットオフ・レゾナンス・モジュレーションとしても、その前のピッチ・アタックタイム・リリースタイムの調整量は保持されたままなのです
これは音楽制作時に音色をある程度調整してスマホのMIDIシーケンサアプリを走らせCT-S 1000Vを鳴らし、カットオフなどを任意に効かせながらリアルタイム録音できるということを意味します(当然ミキサーは必要ですが)
DTM環境構成例で言えばスマホ、CASIO CT-S 1000V、YAMAHA AG03、audio-technica AT2020あたりを揃えればDTM初心者には必要十分すぎるDTM環境になります