- セネカ 心の安定について からの引用 "ひとの訃報について"
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他人の不幸にいちいち心を痛めていれば、悲惨はいつまでも終わらないし、他人の不幸に喜びを感じるなら、その快楽は人間性を欠いたものとなる。
正しいふるまい方は、自然に沸き起こる悲しみを表出することであって、そうするものだからといって悲しむことではない。
善き人々に悲しき結末が訪れた場合、ひとが悲しんだり不安な気持ちになるのももっともだろう。
彼らのそれぞれが、どのように逆境に耐えたのかを、よく見るのだ。
もし彼らの人生が(逆境に対して)勇敢であったなら、自分にも彼らと同じ心が宿るように願えばよい。だが、もしも彼らが(逆境に対して)臆病であったなら、その死はあなたにとってなんの意味もなかったのだ。
じっさい、偉大な自分の勇敢な死にざまを見て、人々が臆病になってしまうなどという、そんな恥ずべきことがあろうか?
よく考えてみるのだ。
その人物は、きみが称賛するにふさわしい勇気の持ち主であるか?きみが憧れるのにふさわしくない臆病の持ち主であるか?
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- セネカ 心の安定について