過去にもあった奇数コアGPUの件を再度解説すると、GPUじゃなくてもプロセッサなら何でも良いんだけどシングルコアを除いて現在のプロセッサ設計でわざわざ奇数にする経済的合理性がほとんど無い
つまり、奇数コアとしてプロセッサがリリースされてしまう場合はたいてい製造過程で問題が発生したものと読み取ることが可能
今回のA15 Bionicは本来6コアGPUとして設計されていたものの製造過程で6コアGPUの歩留まりが悪く、1コアを潰した5コアGPUでリリースせざる得なくなったものと思われる
AMDがこの辺りの商売が上手くて、コアが潰れちゃったプロセッサをローエンドやミドルエンドとしてリリースすることがあり、この場合は奇数コアプロセッサとなることがあるのだ
もちろん設計通りの完全体の偶数コアプロセッサはハイエンド向けとしてリリースされ、Appleも同様に今後A15 Bionicベースの完全体SoCが登場するのではないかと考えられる
ちなみに命名としてApple AシリーズとなるかMシリーズとなるかはAppleのブランディング戦略、Appleの胸先三寸なので予測が難しい
もっとマニアックな話をすると、プロセッサを製造する時にシリコンウエハから切り出した欠片のことをダイと言う。このダイの大きさがいわゆるプロセスルールに重要なんだけど、そこは置いといてダイは基本的に四角形なのだ
ただし、元のシリコンウエハは円柱状のシリコンインゴットから切り出されて円形をしており、四角形で切り出すと効率的にシリコンウエハを利用することが出来ない
そろそろお気づきであろう、理系のみなさんが大好きな「充填問題」である
当然ながら過去から現在に至るまで円形シリコンウエハの効率的利用に関して充填問題的解決を試みたプロセッサ設計は数多く登場した
その中で登場したのがダイ形状を三角形としたもので、ダイ形状を三角形としたプロセッサをマルチコア化すると収まり良いのがトライコアプロセッサなのだ
しかし、四角形以外の異形ダイは頂点が壊れやすいという欠点を抱えており、どうしても歩留まりの観点から上手くいかないという現実がある
もちろん現在のプロセッサ製造ラインも四角へ最適化されてるってのもあって製造コスト自体が高いという面もある