生き字引「平成の頃はG3方式ファクシミリという昭和の頃に開発された一般電話通信網を活用した画像転送技術が家庭から企業、官庁に至るまで使っておってな、中には受注依頼はFAXでしかしないという企業までおる始末で・・・」

令和くん「えっ・・・今でも使ってますけど・・・」

生き字引「ちなみにFAXが本格的に日本で使われるようになったの昭和3年じゃぞ・・・輸入されたのは大正13年じゃ・・・」

令和くん「」

宇宙女囚第一号(海野十三 著 昭和51年)より

「これを見たまえ。これがこの室にある立体分解電子機と、もう一つ立体組成電子機の縮図だ。わしは十五年かかって、この器械を発明し、そして実物をつくりあげたのだ」

「なんです、この立体分解とか立体組成とかいうのは」

(中略)

「つまりそれは、一口にいうと、テレビジョンとか電送写真とかは、いまもいったとおり平面である写真を遠方に送るのであるが、わしの発明した電子機では、立体を送ったりまた受けたりするのさ」

「立体を送ったり受けたりといいますと――」

 僕にはなんのことだか分らないので、問いかえした。

「つまり物体をだね、たとえばここに鉄の灰皿がある。これを電気的方法によって遠方へおくったり、また遠方にあるアルミニュームの金だらいを電気的方法によってここへ持ってきたりするのさ。あっはっはっ、いっこう解せぬという顔つきだね。考えだけならなんでもないではないか。平面がテレビジョンや電送写真として送れるものなら、立体もまた送ったり受けたりできるわけではないか」

 僕には、博士のいうことがすこしずつわかってきた。

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ちなみに青空文庫で読めます

短編なので15分もかからず読むことが可能で、ジョークも効いていて面白いです

宇宙女囚第一号 - 海野十三
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