なお,特にテキスト等については,ウェブクリッピング等として,後でじっくりと読むために,その時点では内容を吟味しないまま,ひとまず記録・保存を行うという行為が広く一般に行われているところ,このような場合,特に,クリッピングした著作物の一部に違法なものが含まれているというような場合には,およそ「事実を知りながら」という要件に該当しないものであるため,それとは別途,追加的な措置を行う必要性は認められないものと考えられる。
また,「事実を知りながら」という要件について,裁判所により厳格に解釈される保証がないことを理由に,他の要件により限定をかけておくべきとの考え方もあり得るが,主観要件の解釈・運用に不安があるのであれば,まずは,その点を解消するための措置に万全を期す必要があり82,それによって解消が困難である課題が認められる場合には,更なる措置を検討すべきものであると考えられる。