散右衛門狸2 #散財力の高い童話
約束の日、太財郎狸が浜に行き、教えられた松に登ると、薄茶色をしたレンズの眼鏡が置いてありました。
「このサイズ、軽さで無線とは凄い技術だ」と驚くと、そっと眼鏡を装着して待ちました。
やがて西の方から、長い毛槍を何本も立て、大名行列がやってきました。馬や籠の飾りが輝き、こわい顔をしたお供の武士たちが幾人も見えます。その様子は完全に景色に溶け込んだリアルさです。
すっかり感心した太財郎狸は、手を叩いて「見事見事、まるで本物の通りだ!」と大声をあげました。
それもそのはず、実は行列は本物で、事前にお通りを知っていた散右衛門狸が、それをただ太財郎狸に見せただけなのです。
お供の武士に見つかった太財郎狸は、あっという間に槍で突き殺されてしまいました。ちなみにMRグラスは、ただのブルーライトカット眼鏡でした。
#散財力の高い童話