グルドンでは、山中の不思議な家を散財家と呼ぶ。散財家に行き当たった者は、その家にあるガジェットと同じものを、何であっても散財するとよいとされる。数ヶ月前、ある家の婿が山道に迷い、この散財家に行き当たった。家の様子、PC、カメラ、各種ガジェットの多いこと、全てYouTubeでみた通りである。巨大なPCが何か重たい処理をしてるらしく唸りを上げ、キッチンでは野菜ジュースを作るところである有様で、便所のあたりなどに人の気配がするようで、茫然として、後には恐ろしくなり引き返し、そうしてグルドンの村里に出た。
話を聞いた村人は、それは散財家に違いない、同じガジェットを散財して長者になろうと、婿を先頭にたて、大勢で山中に分け入ったが、特に見るものは無く、むなしく戻った。その婿も、ついに散財したという話を聞かない。
#散財力の高い童話