グルドンにはサンザイシキワラシという神の住み給う家が少なくない。この神、多くは可分所得の高そうなオジさんで、ときどき人に姿をみせることがある。
ある家では、近頃、中学生の娘が、夜中廊下でばったりサンザイシキワラシに会ってしまい、とても驚いたことがあった。これはまさしく、ジンバルを持った、どこかで見たことのあるオジさんであった。
同じ村の某氏では、母親がひとり洗い物もしていたところ、隣の間で何やらがする。この室は家の主人の部屋で、その日は仕事で留守の折だったので、怪しいとおもい板戸をあけたが誰もいない。しばらく座っていると、PCデスクに見慣れないゴーグルを見つけ、さてはサンザイシキワラシだなと思った。この家にサンザイシキワラシが住んでいるというのは、ずいぶん以前からである。
この神が住み給う家は、貯金は減るが豊かな生活をおくれるということである。